読破

初心―密命・闇参篭〈巻之十七〉(祥伝社文庫)

初心―密命・闇参篭〈巻之十七〉(祥伝社文庫)

江戸時代だって、この小説のようにやたらと人を斬ったり斬られたりはしなかったんだろうと思う。武士だからと言って、誰でもが剣の達人ということもなく、大抵は政というか、お役所仕事というか、リーマンというか、今で言うホワイトだったのだと思うのだけど、それじゃぁ時代小説になんないから、やたらと悪人がいて、それを成敗するんだ。そして、その成敗するってのが、現代と違って有無を言わさないで斬ったり、獄門打ち首だったり、江戸所払いだったり、遠島島流しだったりして、やたらと温情のある裁きってのがないのが気持ちいい。だって、悪いことしたら罰せられるって方が納得がいくもん。そして、前科のある人にはちゃんと身体にその印があるんだ。どっかのあの少年Aなんて、今普通に普通の人々に紛れて生きてるってのと違う。三つ子の魂百までもっていうんだから、あの性癖って治らないと思うけど、普通の人として生きてるんだ。年齢で刑を云々なんて言うのも空恐ろしいんじゃないの?
現代はなんだか殺され損っていう印象の方が強いんだよ。http://wakuchan-2.cocolog-nifty.com/toriaezu/2008/04/post_82ad.html#comments激しく同意だ。
今、こんなに佐伯泰英の文庫本が売れてる理由のひとつはこんなとこにもあるんだと思う。なんだか納得いかない世の中に鬱々とした思いで生きてる中高年がほんのひと時現実を忘れられるって感じ。